昨日に続き、雨、風ともに荒れ狂う状態には至らず、お蔭様で殆ど被害が出なかった三条市の置かれている状況を前提として、今回の台風災害に関する当市における私見を申し述べたいと思います。
今日のテーマは情報収集の重要性について。
今回、私たちは、災害初期体制(第一次配備)に加え、2回ほどにわたる庁議メンバー(災害対策本部設置後は災害対策本部員となります)による情報共有と必要な指示出し、それに加えて、私自身が役所に足を運んだり、自宅待機でも何度か防災担当課長との連絡をする程度で、今般の台風を乗り切りました(当然ながら、いつでも全庁レベルでの対応が可能な状況は整えていたのですが、上記のとおり、現実には、あまり戦線を拡大せずに乗り切ったという意味です)。
もちろん、過度に楽観視したり、盲目的に行動した結果がこれなのではありません。明確な理由があります。
私たちは、気象庁さんからご示唆をいただき、4年ほど前から、出水期を中心に、新潟気象台出身の気象予報士を嘱託採用するとともに、出水期以外にもアドバイザリー契約を結ぶ形で、気象庁から出される気象に関する一次情報を三条市に限定する形で分析していただき、それを私たちにも分かる形で解説していただく仕組みを導入しております。
私自身はそれまで全く知らなかったので、偉そうな口を叩く資格などないわけでありますが、気象庁は、注意報や警報など、私たち一般市民がわかるように咀嚼された端的な気象情報のほかに、膨大な種類、そして膨大な量の一次情報(咀嚼をする前の、分析する前の“生データ”。実際に見たことがありますが、少なくとも私には完全にチンプンカンプンです…)をネット上に公開しております。
各気象台ではこの一次情報を元に分析するのですが、それを長年経験された方に、同じ手法を以って、三条市専用の分析をしていただくわけです。
今回の台風襲来に際しても、この仕組みに則り、アドバイザーに分析をお願いしたわけですが、答えは雨、風ともに避難情報を発令するレベルに達するまでには至らないであろうとの分析結果でした(もちろん、半日置きに分析の更新をしていただいたのですが、さほどの変化は見受けられませんでした)。
こうした分析結果である以上、徒に市民の皆さまの不安を煽ることに繋がりかねない災害体制への切り替えを行うことには慎重になるべきですし、万が一の事態が生じた時点で既に職員の体力が疲弊することを防ぐためにも、その時点その時点に適ったサイズでの対応をするべきです。
こうした理由から、上記のような対応と相成ったわけでありますが、このアドバイザーの存在は本当に心強いものがありました。
もう1つ心強かったのが国土交通省の出先機関からの情報提供。
今回の台風襲来に際して、いわゆるホットラインを通じてプッシュ型の情報提供を頂いたのは、国土交通省の信濃川下流河川事務所長さんと信濃川河川事務所長さんのみでした。
両所長さんのうち、大河津分水路より上流の信濃川の水位状況が尋常ならざる状況になってからの信濃川河川事務所長さんからの定期的な情報提供は本当に助かりました。
お蔭様で、大河津分水路より下流のみならず、事態が緊迫している中流域もタイムリーに状況を掴むことができたので、頭の中で、幾つかのパターンをシミュレーションすることができ、それが冷静さを維持する効果ももたらしたと今振り返ってみて実感しております(もちろん、台風襲来の1日前にホットラインを頂いた信濃川下流河川事務所長さんの存在にも助けられました)。
以上、縷々書き綴りましたが、情報収集を仕組み化することの重要性の一端がお伝えできたとすれば幸いです。
☆
以下は上記に増して、私見ですので、念のため…
今回、気象庁からの直接的な記者会見が評価されておりますが、私はやや懐疑的です…
先ほど少し触れましたが、気象庁は、刻一刻と変わる気象環境をタイムリーに捉え、分析し、分かりやすい形に翻訳(咀嚼)し、公表するのが主たる任務だと思うのですが、この作業は、膨大な量のデータの読み込みなど、大変な労力を要しますし、過剰なまでの冷静さを求められる任務だと感じております。
他方、マスコミ対応というのは、これはこれで、別次元の労力を求められますし、その対応如何によっては、マスコミ対応に忙殺されてしまいかねません。
万が一こうした事態が発生すれば、気象庁が本来任務を遂行するために守り切らなければならない冷静さを維持できる職場環境を揺るがしかねなくなるのではないか…
これが私の心配ごとなのです。
マスコミ対応は別の組織が行い、それによって、気象庁の本来業務を守り切る…これが筋道のような気がしてならないのですが、如何でしょうか…
posted by 国定勇人 at 11:20| 新潟 ☁|
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