
午前中に開会された三条市議会本会議において、来年度予算案を始めとする全議案について、可決いただきました。
昨日発表した4月1日付人事異動と、本日可決いただいた来年度の各会計予算という、三条市にとって大切な大切な“ヒト”“カネ”という資源を糧に、明日の三条市を切り拓いていきたいと思います。
来年度も、三条市政に対するご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。
さて、我が家に埋もれていた本シリーズ第二弾の今回の読書感想文は、何度かお会いしたこともある飯尾潤先生の書かれた“日本の統治構造〜官僚内閣制から議院内閣制へ〜”というもの。
初版年を確認すると、民主党による政権交代の2年ほど前に書かれているのですね。
それを念頭に読み進めてみると、民主党政権の迷走ぶりを先生はさぞ歯軋りする想いで見つめていらっしゃったのではないかと拝察いたします。
日本独自に進化を遂げた“日本版”議院内閣制のこれまでを肯定しつつも、この独自制度の限界(大局的、戦略的判断のしにくい構造など)を指摘し、その弱点を克服するための政府与党の一元化を始めとするイギリス型議院内閣制への回帰を模索するべきではないか…
先生の本書における主たるご意見は、こうした点に収斂されるのではなかろうかと思うのですが、そうした先生の志向した提案を基本的には採用しつつも、運用しきれなかった民主党…
今、この時点で、我が国の戦後政治を振り返ってみると、先生の思い描く統治機構に最も近似的だったのが小泉内閣だったんだなぁ…と改めて思い知らされます。
毀誉褒貶の激しい小泉内閣ですが、戦後の統治機構の変革という意味では、疑う余地なく、橋頭堡を築いたんだということを確認できます。
これが本書を通じての大まかな感想だったのですが、自分自身にとって衝撃的だったのは、議院内閣制と大統領制の根源的意味を解説したくだり…
“先進民主政に限れば、政治体制は大統領制と議院内閣制に大きく分けられる。その際に両者を分けるもっとも重要な点は、二元代表制か一元代表制かである。つまり、民主政のもとでの大統領制は、大統領と議会とが別々に選出され、それぞれが正当性を有しているため、民意は二元的に代表される。それに対して議院内閣制は、議会のみが民主的に選出され、その議会の正当性を基盤として内閣が成立するために、民意は一元的に代表される。ここに着目すれば、議院内閣制のほうが大統領制よりも権力集中的な制度なのである”とは、たしかに道理ですが、何故だか知らないけれどもステレオタイプ的に“大統領制の方がリーダーシップを発揮しやすい”と決め付けていたので、目から鱗の考え方でありました。
本書では、“たとえば「日本国憲法の原則は三権分立であり、議院内閣制を採用している」という発言に、多くの日本人は疑問を感じない。ところがアメリカ人やイギリス人を相手に、この話をすれば、怪訝な顔をされるだろう。…イギリスは議会主権の国であり、権力が内閣あるいは首相に集中する議院内閣制を採っている。それゆえ権力分立は制限され、むしろ権力が集中している。それに対してアメリカでは権力分立が徹底され、政治権力は議会と大統領との間で分有されている。そこでアメリカの政治は権力抑制の側面が強い”と説いているのですが、私は典型的な“多くの日本人”だったようであります…
なかなか面白い本でした。