2016年12月07日

思い込みを振り払えっ!

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現在、旧体育文化センターと旧総合体育館の解体後に建設を予定しているスポーツと文化の新たな複合施設について検討が進んでいるところですが、先般開催された検討委員会において事務局より、施設機能の基本的コンセプトとして“重ね使い”を提案させていただきました。

この“重ね使い”とは、従来の施設運用において陥りがちであった“スポーツエリアはスポーツのもの”“文化エリアは文化のもの”(更に申し上げれば、例えばスポーツの中にも柔道や卓球などの競技ごとに、文化の中にも音楽や美術といった分野ごとに物理的空間的境界が存在します)という画一的、硬直的な考えを見直し、それぞれに展開されるソフト事業(スポーツ大会や美術展など)の規模によってエリア運用を柔軟にしていこうというものです。

この“重ね使い”の基本的コンセプトそのものは私自身も当初から志向してきたことから、もちろん異議を唱えるものではありません。大賛成です。

その上で…

この“重ね使い”のコンセプトを施設設計に落とし込むに当たり、若干の懸念事項が頭をよぎったのも事実でありました。

その最たるものが“大ホール(音楽や舞台などに使う、いわゆる文化ホール)”に対する考え方…

“重ね使い”のコンセプトを貫き通そうとすると、客席は可動型にして必要に応じて“大ホール”全体をフラット化、理想的には、“大ホール”以外の施設空間を含めて複合施設全体をフラット化することが求められます。

くどいようですが、その考え方そのものに異論があるわけではないのですが、初めて“大ホール”客席の可動型の導入についての協議を受けた際、私の頭をよぎったのは、“それでは音響など大ホールに本来求められる根本的機能が損なわれ本末転倒になるのではないか…”というものでした。

少なくとも、私の乏しい発想力では、例えば燕三条地場産業振興センターの多目的ホールのように、全体構成が簡易な椅子と足場に板を敷いただけの典型的な仮設型構造を思い浮かべ、本末転倒への懸念が払拭されないわけであります。

そこで、実際の導入事例を担当部局に聞いてみたところ返ってきた答えが“例えば、由利本荘市にあります”とのこと…

そうとなれば、行くしかないっ!

百聞は一見に如かずでしょ!

というわけで、偶然公務が入っていなかった土日を使って行って来ましたよ、秋田県にある由利本荘市までっ!

調べてみると、偶然、日曜日に地元のクラッシック演奏家(ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、クラリネット、そしてフルート!)がコンサートを開く(何故か最後は合唱!)ということが判明したので、家族を引き連れてのお忍び偵察ですっ!

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お邪魔した“由利本荘市文化交流館カダーレ”は図書館との複合施設になっており、館内に直線状の巨大空間を生み出し、マルシェなどを展開する意図があったことから、大ホールについて客席可動型を導入したようであります。

で、さっそく大ホールに入ってみると、実に立派なホールとなっております。

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でも上から眺めるだけでは、可動型も固定型も違いが分からない…

というわけで、下から覗いてみたのがこちら…

ん!?

これって、本当に可動型?

一見、どこが可動型なのかが分からない仕様となっております。

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でも、よく見ると、確かに溝があるのが分かります(2枚上の写真でいえば、白線のところが可動と固定の境目のようです)。

ここが実際に伸縮していくのですね。

で、実際にコンサートを聞いてみたのですが、素人の私には全く分からないし、心地よく快適に音を楽しむことができました。

この施設のパンフレットを見ても、客席も吟味して製作され、音響は相当念入りにシミュレーションを重ねてきたことが窺えます。

う〜ん。

百聞は一見に如かずとはいえ、ここまで思い込みと現実とが乖離していただなんて…

自分の想像力の乏しさを恥じ入るばかりです…

以前、職員が作成した理事者協議資料の表紙に掲げてあった“思い込みを振り払えっ!”という言葉を久々に思い起こしました。

こうして私自身の懸念は振り払われましたが、更に念には念を入れ、それでも生じているであろう計画と現実とのギャップなどを由利本荘市さんなどの先進事例の地から聞き取り、より良いものを目指していきたいと思います。
posted by 国定勇人 at 12:56| 新潟 ☀| ブログ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする