2017年02月01日

ホールやアリーナに関する一考察

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現在検討が進められているスポーツ・文化・交流の新複合施設について、面積や財源に制限があるものの、所与の条件の中で、最高の施設を生み出したいっ!

そんな想いで考えを巡らしつつあるのですが…

今朝の三條新聞の無題録に触発されて、現時点での考えの一端を吐露したいと思います。

まずはアリーナについて。

新複合施設の中で、スポーツ分野の主たる機能を受け持つアリーナでありますが、スポーツをする側の目線からの意見は多数頂戴いたしますし、ある程度競技ごとの施設基準が決められているので、それはそれでしっかりと受け止めて取り組んでいけばいいと思っているのですが、スポーツを取り巻く現況からすると、それに加え忘れてはならないのが、スポーツを観る側の視点であります(これはまさに、本日の無題録の目線でもあります)。

例えば、現在、栄体育館、下田体育館(それに解体された旧総合体育館)のいずれも、スポーツをする側、観る側問わず、外履きから内履きに履き替えなければなりません。

でも、これってあまり必然性はありませんよね。

特に、観戦する側からすれば、アリーナそのものに入るわけでもないし、煩わしいばかりで何のメリットもないと言っても過言ではないでしょう。

また、これも、どこの体育館にも多く見られることではありますが、アリーナ観客席の椅子があまりにも簡素過ぎて、リラックスして楽しくスポーツ観戦できる雰囲気に全くといっていいほど貢献できていないどころか、却って雰囲気作りを壊す方に加担しているような気がしております。

映画館の椅子とまではいかなくても、リラックスして観戦できるような設計が施された観客席であれば、観戦した試合が、自分たちの子供の部活の試合であろうが、無題録でも書かれていたアルビレックスBBの試合であろうが、今よりも数段楽しく観戦できるはずっ!

最後は予算と相談していかなければなりませんが、こうした視点にも想いを巡らせながら、最高のものを造るべく追求していきたいと思います。

次に、ホールについて。

この文化分野の主たる役割を担うホールに関する考え方については、一時期、三條新聞の投書欄でも様々な意見が表明されましたし、私自身も拙ブログでも、その時点での考えの一端を触れさせていただきました。

そこで、今回は、その後の考えの変遷の一端をご紹介したいと思います。

ホール整備に当たって考えを巡らせなければならないポイントは多岐に亘っているのですが、ここでは敢えて、三條新聞の投書欄でも話題になった“重ね使い”についてに絞って書き綴ってみたいと思います。

ホールの“重ね使い”を巡っては、“ホールにとっての生命線である音響が中途半端になるではないか!”“地場産センターの多目的ホールのような可動式の座席では座り心地の悪いこと、この上ない!”といったご意見が寄せられているのですが、このうち後者については拙ブログで既に自分の考えを表明し、基本的には今もなお気持ちは変わっておりませんので、ここでは更に前者に絞って書き綴ってみたいと思います。

この音響ですが、私自身も気になっているところです。

そこで、私自身も著名な音楽家にお話を伺ったり、担当部局の職員も勉強させていただいている真っ只中であるわけでありますが、音響に与える影響を論ずる際には、どうやら可動式客席はあまり主戦場ではないようです。

もとより、地場産センターの多目的ホールのようなものであれば別ですが、今のホール設備のスタンダードレベルであれば、可動式とか固定式とかに拘りのポイントを置くべきではないというのが実態のようです(実際のところ、複数の音楽家によると、それ以上にお客さんの服や空席率の方が音響に与える影響が大きいとのこと…たしかに冬の厚着はそれだけで音を吸収してしまいますからね…)。

むしろ、問題は反響板のあり方、つまり舞台周り(プラス壁面)の反響板のあり方をどのように考えるのかが大事なようです。

もっと本質的に申し上げれば、設置者が“残響”をどうしたいのかについてどれだけ意識できるかどうか、設計に反映できるかどうかが、当該ホールの評価を左右するのだそうです。

さて、では、この“残響”に関する考え方をどのように志向をすればいいのか…ということになっていくのですが、実は悲しいことに、この“残響”に関する考え方は二律背反の宿命を負わされております。

つまり、アンプを使う音楽や演劇は“残響が短ければ短いほどよい”のに対し、生演奏は“残響が長ければ長いほどよい”ということのようなのです…

ということは、私たちがこのホールを主たる利用として何に期待するのかによって、大きく方向性が変わってくることになります。

ちなみに、多くのホールは公共施設であるため、右にも左にも耳を傾けた結果、どちらの分野からも不満にもたれてしまうという残念な状況に陥っているようで、私たちは、その道を取りたくはありません。

そこで、現時点での私の率直な意見ですが、座席数の規模が500席超であること、市民が演者となることを想定しても生演奏の機会の方が多いことが予想されることなどを総合的に考えれば、“残響を長く”の道を追及すべきなのでは…と思っているのですが、最後の決断のその日に至るまで、自分自身も引き続き悩みぬき、決断するに足りる必要最低限の知識を得続けていきたいと考えております。

(写真は、先週末、親交のある音楽家のご意見を拝聴しに行った帰りに、子供たちと過ごした一場面…)
posted by 国定勇人 at 13:08| 新潟 ☁| ブログ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする