2017年07月06日

【読書感想文】日本エリートはズレている

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久々の読書感想文です。

今回ご紹介するのは、現役外交官の道上尚史氏(出版時は駐ドバイ総領事だったのですが、釜山の前総領事の更迭騒ぎ(!?)に伴い、釜山総領事へ異動となったことが先日報道されていましたね…)の著書“日本エリートはズレている”というもの。

“世界における我が国の存在感が圧倒的に低下しているのに、そして、資源に乏しい我が国の活路は海外との取引なくしては成り立たないのに、当の日本人は未だに90年代までの過去の栄光を引きずり、相対的に低下しているはずの優位性に甘んじ、その結果、プレゼンス低下に対する危機意識が非常に乏しい”

これが本書の本旨なのですが、さすがに現役外交官なだけに、分かりやすい身近な事例を引き合いに出しながらそれらをあぶり出し、危機意識を煽るだけではなく、同時に、世界の他の国々がまさにやっているのと同様、“ガツガツ切り込んでいこうぜっ!”、そしてかつての我が国がそうであったように、“地道に切り込み続ければ今ならまだ間に合うっ!”という勇気をも奮い立たせてくれる良質な一冊だと思います。

私は仕事が内政中心でありますが、それでも、ものづくりのまちという性格上、海外のお仕事も若干させていただいております。

こうした中、たまに海外に行くと、アジア各国の貪欲な進出動向が目に飛び込んでくるだけではなく、例えば中国内陸部に入っても、ヨーロッパ諸国の企業が積極的に進出している中、我が国の匂いが微塵にも感じないことに、マルドメ(まるでドメスティック)な人間の私でさえ、強烈な危機感を覚えます。

他方で、訪問時に海外駐在の日本の方々のお話を伺うと、本書でも指摘されているとおり、全くといっていいほど、地元の人々と交わっていない、しかも、その行為の背景に“我々日本人は特別だ。わざわざ現地の人々と交わる必要もない”という根拠のない優越意識があることに愕然とします(我々自身は短期訪問であるにも関わらず、日本人との会食となると、決まって日本料理という不思議さ…会話の中で、私でも知っている現地でも有名な、でも外国人の少ないマーケットや料理店の名前を出すと、“あそこは現地の人しかいかないから”の一言で終わらせてしまう探究心の乏しさ…私でさえ、こうした経験に出くわすのですから、本書の事例がいかに“特別な”ものではないのかがご理解いただけると思います)(もちろん、こうした方々だけではないということも申し添えます)。

もちろん、こうした驚愕的な状況を改善していくのは“誰か”なのではなく、“我々1人ひとり”であることも肝に銘じなければなりません。

その端緒として、ものづくりのまちの首長として、外国からのお客様がお見えになったとき、或いは我々が外国に訪問するときには、少なくとも公式の挨拶やプレゼンテーションでは英語(或いは中国語)で行うことを心に決めました。

そして、できる限り、海外に足を運び、地元の中小企業の経営者の皆様がこれまで以上に一層、海外の耳目に触れる機会を増やしていこうと覚悟を決めました(これは、我々地方行政に身を置く者としては比較的大きな決断なのです…例えば、地方議員さんが海外に視察に行くと、未だに直ちに非難の声が上がるのが我が国の実態です…もちろん、度を越した渡航費用などは論外ですし、例えば、直近の市長訪問でいえば、成田→南京→成都、重慶→上海→羽田の往復航空費が5万円弱でした)。

とにもかくにも…

今の我が国の世界における座標軸がどこにあるのかを考える上で、良質な一冊だと思います。

おススメですっ!(関連インタビューがありましたので、こちらもどうぞ)
posted by 国定勇人 at 13:42| 新潟 🌁| ブログ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする