三条市は保健所を設置する権限を有さない一般市ですので、三条市における本件の対応は新潟県(三条地域振興局)となります。
従いまして、法権限的には、私たちは、市内の企業さん、事業所さんと同じ立場となります。
他方で、事業体としての三条市は、多数の公共施設を有するだけでなく、教育、保育から様々なイベントに至るまで様々なソフト事業を運営しているものですから、施設所有者として、或いはソフト事業運営者として、感染拡大防止に努めなければなりません。
また、同時に、法権限的には新型コロナウィルス感染症対策に関する権限(≒責任)は有さないものの、多くの市民、企業の皆さまにとっては、三条市もまた、新潟県と同様、身近な行政機関として認識されることから、私たちの行動そのものが、そうした方々にとっての行動指針となることを併せて自覚しなければなりません。
そのようなことから(そのようなことを意識しつつ)、一昨日になりますが、施設所有者としての暫定的な感染拡大防止策を取りまとめました。
考え方は次のとおりです(関連報道資料はこちら)。

まず、感染の予防を図るため、主に不特定多数が出入りする閉鎖空間を有する建造物等ごとに暫定的なリスク分類を上の座標軸のとおり定めました。
ポイントは、@利用者の滞在時間(大阪府の対応策を参考に30分を閾値と定めました)、A利用者の密度(国からも示されている2メートルを確保できるかどうか)、の2点から施設を類型化したところにあります。

上述の基本的考え方(リスク分類)の下、当該分類を三条市の施設に当てはめましたのが上の表となります。
このうち、既に感染予防策に関するマニュアルが存在する施設にあってはそのマニュアルに、存在しない施設にあってはリスク分類ごとに新たに定めたマニュアルに沿って必要な消毒用薬剤やマスクを配備した上で昨日から対策を行うこととしました。

次に、マスクの配布について。
三条市では、現在約140万枚のマスクを備蓄しております。
この虎の子というべき備蓄しているマスクは、“移さない”ためのものであり、“移らない”ためのものではない、という基本的な性質を踏まえつつ、感染拡大の段階に応じて、配布対象をコントロールしていかなければなりません。
何故ならば、140万枚といったところで、人口10万人の市民の皆さまに配布したら、1人当たり14枚にしかならず、誰が移す可能性のある者なのか分からないパンデミックに近い状態にならない限り、先ほど申し上げた基本的性質を冷静に考えれば、配布することにあまり大きな意味がなく、その状態に至っていない今それを実行してしまっては、今後本当にパンデミックに近い状態になったときに、それこそ切るべきカードを切ることができなくなってしまうからです。
では、濃厚接触者も特定されている現段階においては、どのように配布することが最善の選択となるのでしょうか?
私たちは、新型コロナウィルス感染症により重篤化しやすい方々が利用する施設において、“もしかしたら”当該利用者に移してしまうかもしれないサービス提供者(医師、看護師、薬剤師、介護サービス職員などなど…)に虎の子のマスクを配布して、重篤化しやすい方々が安定的に様々なサービスを受け続けることができる環境を維持する手助けをすることが現段階における最善の選択と考えております。
こうした考え方に基づき、そうした施設の運営者に対し、昨日からマスク配布を始め、現在までに8万5千枚ほどの配布を終えたところです。
“限られた資源を適切な場所に適切な時期に投下する”
こうした当たり前ともいうべき原則を(情に流されたり、合理的ではない様々な要求や有形無形の圧力に負けず)、一見冷徹に見えてしまうかもしれませんが、守り続けていきたいと思います。
それが結果としては、地域社会の感染防止効果の最大化に資すると信じて…
皆さま方のご理解とご協力を何卒宜しくお願い申し上げます(私どもの全体の対策内容についてはこちらをご覧下さいませ)。