2020年03月10日

県央基幹病院開院後の三条総合病院について

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三条市議会3月定例会の一般質問でもご指摘いただいた“県央基幹病院開院後(令和5年以降)の三条総合病院”について、私どもの基本的考え方と評価を申し述べたいと思います。

まず、“県央基幹病院開院後の三条総合病院”の姿でありますが、病床数19床の有床診療所として当面の間存続することが、県央地域レベルでの医療機関調整会議では決まりました。

三条総合病院は燕労災病院と同じく、県央基幹病院を開院させるための前提条件となる“再編対象病院”と位置付けられたことから、即時閉院となってもおかしくないところ、病院運営者である新潟厚生連さんのご英断で、有床診療所として存続することとなったことを私たちは支持し、高く評価申し上げたい…これが私どもの今回の決定に対する率直な評価であります(敢えて申し上げれば、同じく再編対象病院となった燕労災病院は、三条総合病院とは裏腹に、同会議において、県央基幹病院開院と同時に、新たな代替医療機関を設けることなく、閉院することが決定されたのですから、この決定がいかに画期的なものであったのかはご理解いただけるものと思います)。

次に、私たちが“県央基幹病院開院後の三条総合病院”について、どのような基本的考え方を持ち、これまで働きかけてきたのかについて、申し述べたいと思います。

私たちの基本的考え方は極めてシンプルであり、“地域医療の枢要を占める外来機能を現状どおり維持すべく最大限努力する”というものでありました。

県央基幹病院構想が浮上して以降、数多くの市民の皆さまの声に耳を傾け続けた結果として、私どもは、三条総合病院に対する市民の期待値は“外来機能の維持”にあると見定めました(人工透析といった通院機能も広い意味での外来機能と受け止めました)。

何故ならば、入院機能については、急性期、慢性期、回復期を問わず、基本的には、外来機能に比べると、地域利便性という価値判断はあまり大きな意味を持たないというのは、確かに説得力のある主張として理解できましたし、逆に、日々通院することとなる外来機能については、引き続き身近な場所にあり続けてほしいというのが概ねの地域世論であるというのも納得できたからです(お世話をされる方々の負担に影響があることを理解しつつも…という前提条件付きですが…)

でも、この“外来機能の維持”ということ自体が極めてハードルの高い要請事項でありました。

何故ならば、現在の三条総合病院は、内科、小児科、外科、産婦人科、耳鼻咽喉科、眼科、整形外科、リウマチ外来、泌尿器科、歯科口腔外科、インプラント外来の総合外来機能を有する医療機関であり、この総合外来機能を維持するだけでも、それ相応の医師、看護師を始めとする医療スタッフチームが必要となるからです。

そこで、私たちは、こうした総合外来機能を維持するのに必要となる医療スタッフを可能な限り確保するため、“病床を有する”外来機能に拘ることとしました。

病床を有すれば、夜勤も必要となり、それをローテーションで回していくためには、“それ相応の”医療スタッフをチーム単位で確保することが不可欠となると考えたからです(更に申し上げれば、病床を有することによって初めて、総合外来機能を最低限確保する余地が残ると考えたからです)。

ただ、これもまた、極めてハードルの高い要請事項でありました。

私たちが住んでいる三条市を含む県央2次医療圏域の基準病床数(≒許可病床数)は1,392床であるのに対し、現時点での既存病床数は1,937床と基準病床数を545床も上回っているのが現状です(私たちの肌感覚とは裏腹にでありますが…)。

これは即ち、既存の病院に新たに何らかの変化を与える場合、それは“縮減”“縮小”という方向にしかベクトルは向かず、決して“維持”“拡大”には向かないということを意味します(というよりも、何らかの変化を与える場合には、それは当該病院の病床数の全部返上、つまり閉院を意味することとなります)。

ただ、幸いなことに、私たちには、特例措置が与えられておりました。それは、再編対象病院となっている病院については、再編統合時において特例的に“再編対象病院の合計病床数を下回っている限りにおいては、再編統合の結果、尚依然として圏域全体の許可病床数を上回っていたとしてもこれを認める”というものです。

ということは、燕労災病院が300床、三条総合病院が199床ですので、県央基幹病院の病床数450床(我々が厚生連に具体的な要請をしていた当時の病床数)を鑑みれば、300+199−1(下回ることが必須)=498床から450床を覗いた48床が三条総合病院(或いは燕労災病院)には特例的に残すことが認められる状況でありました。

この数値は病院経営の観点からはとても持続可能なものではありませんでしたが(厚生連さんが県央基幹病院も経営し、サテライト機能として三条総合病院48床を急性期を脱した回復期に使うというのであれば、可能なのかもしれませんが…)、この厳しい制約条件の下、厚生連さんにおいて、私たちに寄り添い検討をいただいた結果、冒頭申し上げた英断を下していただくこととなったわけであります。

この結果、県央基幹病院開院後の三条総合病院について、私たちが死守しなければならなかった必要最低限の総合外来機能は残すことが担保できたのではないかと私たちは考えております(維持することとなった病床は私たちの地域に不足している県央基幹病院の入院患者が急性期を脱した後の回復期としてももちろん期待できますので、そういう意味でも一石二鳥だと考えております)。

私たちは、県央基幹病院構想が浮上したときから、その時その時の状況による変化はありつつも、三条総合病院の地域医療機能を残すべく、新潟厚生連さんに働きかけを行い続けてまいりましたが、こうして一定の成果が得られたことでギリギリ及第点を頂けるのではないかと考えております。

以上、三条総合病院を巡るこれまでの状況を含め、縷々書き綴ってみました。

199床から19床に激減することに、厳しい評価をされる方々も多くいらっしゃるとは思いますが、こうした背景事情の上に今日の結論があるということを、これをお読みいただき、ほんの少しでもご理解いただければ幸いです。
posted by 国定勇人 at 12:46| 新潟 ☁| ブログ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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