三条市は保健所を設置する権限を有さない一般市ですので、三条市における本件の対応は新潟県(三条地域振興局)となります。
従いまして、法権限的には、私たちは、市内の企業さん、事業所さんと同じ立場となります。
他方で、事業体としての三条市は、多数の公共施設を有するだけでなく、教育、保育から様々なイベントに至るまで様々なソフト事業を運営しているものですから、施設所有者として、或いはソフト事業運営者として、それぞれの施設の再開の是非、ソフト事業開催の是非を(市内企業さんを始めとする様々な皆さんと同様に)判断しなければなりません。
また、同時に、法権限的には新型コロナウィルス感染症対策に関する権限(≒責任)は有さないものの、多くの市民、企業の皆さまにとっては、三条市もまた、新潟県と同様、身近な行政機関として認識されることから、私たちの行動そのものが、そうした方々にとっての行動指針となることを併せて自覚しなければなりません(まして、三条市の判断が社会不安を助長することに繋がっては絶対になりません)。
そのようなことから(そのようなことを意識しつつ)、今般、政府による一律のイベント等の自粛要請期間終了後の、三条市の公共施設の施設開放、或いは三条市が行う各種イベント等の実施についての暫定的な自主基準を取りまとめ、本日の記者会見で発表することとしました。
考え方は次のとおりです(関連報道資料はこちら)。

まずは、私たちが置かれている市内感染状況を、各保健所が感染の可能性に関する基準等を踏まえ、“市内未発生期”“市内発生早期”“市内感染拡大期”の3段階に区分し、各段階に応じた対応を講じていくこととしました。
ここでのポイントは、各段階のスイッチをオンにする(或いはスイッチをオフにする)“保健所が感染の疑いを判断する基準”“保健所が感染の疑いがないと判断するタイミング”となります。
その要件構成は上の表のとおりとなっているのですが、その基準を満たす(或いはその基準が解かれる)市内在住者或いは市内勤務者がいるかどうかは三条保健所を所管する新潟県(場合によっては新潟保健所を所管する新潟市)しかその情報を持ち合わせておりませんので、適用を開始する今月20日までに、それぞれの機関と情報がタイムラグなく共有できるよう働きかけ、納得していただかなければなりません。

その大切なスイッチをオンオフする情報が適時適確に入るということを前提とした上でですが、それぞれの段階ごとのハード・ソフト両面に及ぶ私たちの暫定的自主運用基準を定めたのが上の表となります。
心掛けたのは、“過度に恐れる(過剰に安全サイドに立った)運用は控える”“合理性に富む判断基準とする”という2点でありました。
それが如実に表れているのが、“市内発生早期”における対応方針。
我々主催者側が先日定めたマニュアル(関連ブログ記事はこちら)に基づき感染予防策を行った上でではありますし、参加者には発熱や呼吸器症状がある場合には参加を見合わせていただくよう呼びかけることを行った上ではありますが、“全てのイベント参加者が「感染の疑いを保健所が判断する基準」のいずれにも該当していないと類推される場合”には通常通りイベントを実施し、或いは施設利用を可能にしようと思っております。
ここの本質は紐帯関係の強弱にあると考えております。
私たちは地域社会に住まう人間ですから、生活の多くが不特定多数と接触するどころか、その殆どを特定された人間関係の中で生活をしております。その、お互いが把握し合っている関係同士の集まりにおいては、誰が“感染の疑いを保健所が判断する基準”に達しているのか否かを基本的には認識し合っていると考えるのが合理的である、というのが市内で生活をしている私たちの基本的な肌感覚であります。
ですので、同一の、或いは近隣の集落の仲間同士が集う趣味サークル(公民館の主催事業となっていることも多くあります)であれば、保健所が行うべきスクリーニングを“集まりの性質上、自らが持つに至った機能”を通じて結果として行ってしまっていると考えるのが合理的であると考え、このように整理させていただきました。
その顕著な事例が卒業式なのではないかと考えております。
卒業式に参加する方は、卒業生、在校生、保護者、来賓、そして教職員というかなり強い紐帯関係にある方々ばかりであり、そうした強い紐帯関係の中にそれぞれの参加者がいることを認識している以上、例えば、“感染の疑いを保健所が判断する基準”に達しているかどうかについて虚偽報告までしてその式典に臨むということは、基本的には考えられませんし、合理性に欠くというものです(尤も、基本的には3週間近く、いわゆる経過観察期間を大幅に上回る形で自宅待機を余儀なくされた子ども達に感染症状があるとは考えづらく、原因者は大人となる可能性があるわけですが、卒業式は全て、大人は子どもとの距離が2メートル以上離れたところに着座するのが基本ですし、卒業証書の授受も、感染可能性が著しく低いと専門家が指摘する宅急便の受取り時間よりも遥かに短いわけですから、こうした視点からも、卒業式に過度な制限を課すというのは合理性に欠くと言わざるを得ません)。
以上、私どもの新型コロナウィルス感染症に係るイベント実施、施設利用等の対応方針について、かいつまんで申し上げましたが、少しでも皆さんの判断に寄与できれば幸いです。