
連日、三条市議会本会議において市政に関する一般質問が続いています。
今回の一般質問で際立って多いのが新型コロナウィルス感染症に関するもの。
これはこれで十二分に理解できるのですが、先日の記者会見も含めてその中でもひときわ関心が高く、個人的には“何でここまで関心が高いのだろう?”と思うのが、新型コロナウィルス感染症拡大期における避難所の対応の在り方について…
“人と人との間隔を2m以上空けることが避難所運営を難しくすることとなるのではないか?”という問題意識そのものはもちろん大切だとは思っているのですが、そもそも災害時における避難の考え方、その中での避難所の位置付けを整理しないことには、そもそもこの議論の入り口にさえ立てないのではないか…これが私個人の本件に関する素朴な疑問であります。
三条市では、避難準備・高齢者等避難開始や避難勧告或いは避難指示の発令対象地域全員が水平避難(避難所への避難)することは現実的ではなく、むしろ生命に危険を及ぼすリスクが高まるとの認識の下、東日本大震災発災直前の平成23年には既に、水平避難から垂直避難(自宅2階や近所の2階以上など安全な場所への避難)を原則とすることとし、実際、この考え方の下で、平成23年の7.29水害を乗り越えました。
今もこの考え方は貫かれており、基本的には堤防直下の家屋倒壊等危険区域や土砂災害の直撃を受ける区域にお住まいの方々を中心に、水平避難することを求めております。
その上で、体温検査等によるスクリーニングと空間分離の徹底、段ボールパーテーションによる避難者同士の身体的距離の確保、といった云わば当たり前の対策を講じている程度なので、避難所だけがこんなに切り取られる形で取り上げられるのが今一つ肌感覚として理解ができないのです…(付言すれば、全体の避難の在り方が整理されていれば、その中での避難所の在り方は、今回の新型コロナウィルス感染症対策のみならず、それと同様に論じなければならない、様々な障害を持たれている方々への配慮、妊婦さんへの配慮、乳幼児のいる家庭への配慮、ペットへの配慮などなどの様々な課題もあるわけで、それをどこまで配慮していくのか、どこまで避難所が担うべきなのかという避難所に関する根源的要素について議論を深めていかなければならないと考えるのです…)
今回の新型コロナウィルス感染症拡大に伴い、避難所運営に深刻な影響を与えるような事態が生じているのだとすれば、それは、“新型コロナウィルス感染症”が主要な原因なのではなく、避難の在り方そのものに原因があると思うのですが、如何でしょうか?
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明後日、三条市では水害対応総合防災訓練が行われます。
幾つもの取材申込みがあるようですが、各メディアにおかれては、避難所運営に関して“フェイスシールドとかで新型コロナウィルス感染症対策を講じていますよ”という表面的な絵面ばかり追い求めるのではなく、避難の在り方というそもそも論にも視点を当てていただければ幸いです(参考までに、三条市総合防災アドバイザーの片田教授がまとめた提言を非難に関する提言のリンクを貼ります。こちらをどうぞ)。