2020年07月31日

内閣府が検討している避難情報の見直しについて

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今週初めに、新聞各紙が一斉に"内閣府、避難情報を一本化へ"という旨を報じました(比較的全体像を解説していると思われる記事はこちら)。

私は中央防災会議防災対策実行会議の委員を仰せつかっているため、この報道には強い関心を持っております。

で、この見直しの方向性について私の意見をまず簡潔に申し上げると、"賛成"であります。

でも、複雑な気持ちの上での"賛成"でありますので、ここでその想いを吐露したいと思うのですが、私は今でも"避難勧告""避難指示"という市町村長が持つ2種類の災害対策基本法に基づく避難情報発令権限を手放すべきではないと考えております。

特に、水害のように、雲行きが怪しくなってから実際の災害発生までの時間がある程度確保できるようなタイプの災害においては、災害危険性の逼迫度が時々刻々と変化していくため、地域住民とのリスクコミュニケーションを図る道具は多ければ多いほど良く、その象徴である法的権限を有する避難情報も同様に多ければ多いほど良いと考えるからです。

この点について、多くのマスコミが端折って報じているように、今回の見直しがただ単純に"避難勧告"と"避難指示"を一本化するということだけであれば、もちろん反対でしたし、未曾有の被害を受けた水害を2度も経験した市の市長として、反対の論陣を最後の最後まで張り続けなければならないという覚悟を持っておりました。

また、今回の見直しのきっかけとなった大きな論拠の1つに"警戒レベル4の中に「避難勧告」と「避難指示」が混在していることは地域住民を混乱させるだけである。分かりやすくシンプルにメッセージを出すためにも、この2種類の避難情報を一本化すべきである"というものがあるのですが、これも私には到底理解できない見解でありました。

何故ならば、"避難勧告""避難指示"は昭和36年の災害対策基本法成立以来50年以上にわたって運用されてきた法的根拠を有する避難情報であるのに対し、5段階の"警戒レベル"は昨年から運用が始まったばかりの法的根拠を有さない避難情報であるばかりか、"避難勧告"発令段階から"避難指示"発令段階に至るまでというリスクコミュニケーションをできるだけ細かく取らなければならない最も重要な時間帯を"警戒レベル4"と一括りにしてしまった、むしろ"警戒レベル"の設定そのものに問題があると言わざるを得ないものだからです。

それでもなお、何故、私が"賛成"なのかということでありますが…

今回の見直しではまず、"警戒レベル"の考え方に修正を施すこととしております。

つまり、"災害発生(=リードタイム確保不可)"のときのみと位置付けられていた"警戒レベル5"の考え方を見直し、新たに"災害が発生しているおそれ若しくは災害発生直前(=リードタイム確保は困難であるものの、リードタイム確保不可ではない)"という状況もまた"警戒レベル5"に組み込むこととしたのです。

これにより、従来の"警戒レベル4"の状況のうち、より事態が逼迫している状況の時間帯(市町村の考え方によっては避難指示を発令すべきと考える時間帯)が切り出され、"警戒レベル5"に組み入れられることとなりました。

その上で、"警戒レベル5"の状況下において、緊急に安全を確保するよう促す避難情報を新設し、災害対策基本法上に位置付けることとする…これが今回の見直しの全体像であるというのですから、私は反対の矛を収めることとしました。

私なりに解釈すれば、今回の見直しにより、避難勧告発令レベルが"警戒レベル4"に、避難指示発令レベルが"警戒レベル5"に改組される、ということ過ぎず、後から運用が開始された警戒レベルと従来の災害対策基本法上の避難情報との整合性がようやく図られたと見るべきですからね。

以上、多くの皆さんには、何の興味も持たれないニッチな話題だったかと思いますが、ある一定のニッチな階層の方々には是非とも、私の想いを知っていただきたく、拙ブログで吐露させていただきました。

次回からはまた通常のブログに戻ります…
posted by 国定勇人 at 11:08| 新潟 ☔| ブログ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする