現在開会されている三条市議会9月定例会では、昨年度三条市諸会計の決算を審査いただくことが主要テーマの1つとなっており、"決算議会"とも称されております。
云わば、三条市財政運営の評価を頂く通信簿的な役割を本定例会は担っているのかもしれません。
ここで重要なのは通信簿の評価対象としてどこが重きを置かれているのかということです。
審査をいただく内容はあくまで昨年度1年間の三条市の会計決算にしか過ぎませんが、やはり大事なポイントは中長期的な観点で見た場合の財政コントロールが適切に行われているのかというところにあり、本定例会の大綱質疑においても、こうした点に着目した指摘を頂いております。
で、財政コントロールが適切に行われているのかを如実に表す実質公債費比率と財政調整基金残高の推計を表したものが上のグラフ。
お蔭様で、私たちが黄信号への閾値と考えている実質公債費比率18%以内、財政調整基金残高20億円以内をいずれもクリアしておりますし、この推計を始めた平成27年度当初と比較しても改善しておりますし、半年前の予算編成時点と比較しても更にパフォーマンスを高めていることがご確認いただけると思います(本年度予算編成時点でのグラフ等はこちら)。
さて、ここで改めて財政コントロールが適切に行われているか否かを如実に表す実質公債費比率と財政調整基金残高について、簡単に振り返りを…
実質公債費比率とは"地方公共団体の借入金(地方債)の返済額(公債費)の大きさを、その地方公共団体の財政規模に対する割合で表したもの"ですが、家計に例えるならば、家計収入(所得)に占めるローン返済額の割合に当たるものです。
何故、この数値が重要なのかということなのですが、月々20万円の返済をしなければならない2つの家庭でも、月収が30万円の家庭と100万円の家庭とでは、そのローン返済額が家計に与える逼迫度が異なることでも納得していただけるのではないかと思います(問題は、20万円という月々のローン返済額(或いは例えば500万円のローン総額)ではなく、日々の暮らしに与える逼迫度(この例えでいえば、前者の家庭はローン返済が収入総額に占める割合が66%、後者のそれが20%)ということは直感として分かることですから、言わずもがなですよね)。
ちなみに、法律では、閾値(早期健全化基準)として25%と設定されているところですが、私たちは、起債発行(新規ローン)に一定の制限が設けられる18%を自主的な閾値としており、この自主的閾値についても、上図のとおり超過することなく推移していくものと見込んでおります。
続いて、財政調整基金残高についてですが、これは家計でいうところの貯金残高です。
私たちも各家庭と同様、運転資金が枯渇しないようにすること(≒日々の生活が回らなくならないようにすること)はもちろんのこと、災害発生時における対応など、予期せぬ財政出動のために一定程度の基金を準備しておく必要があります。
この財政調整基金残高に関する私たちの閾値は20億円。
過去の災害発生時における一時的な財政出動額(その多くは後ほど国によって補填されます)からこの閾値を導き出しました。
ごくごく稀に"三条市の財政は破綻しているのではないか?"と指摘を受けることがありますが(お蔭様で、まず滅多にこのようなご指摘を頂くことはありませんが…)、どんなに計算書類を操作したとしても、最終的には、この財政調整基金残高(或いは各種基金残高の合計額)にシワ寄せが来るため、この財政調整基金残高の推移に全てが表れてしまいます(各家庭で、月収を上回る消費生活を続ければ、超過分を貯金から取り崩さざるを得ず(或いは一時的にローンを調達し、上述のローン返済割合が上昇せざるを得ず)、貯金の目減りとなって表れるのと同じことですよね)。
ということで、将来の世代に対する財政のツケがどのようになっているのかということに関心を持つことはとても大切なことですし、それをチェックするのが決算書であり、決算書を通じて明らかになる実質公債費比率と財政調整基金残高です。
少し真面目な話題となりましたが、決算議会ですので、ご容赦のほどを…